車が高額になっている昨今、毎月の支払額を抑えられる残価設定ローンを利用して車を購入する人も増えていますよね。
残価設定ローンで購入した車の支払いがある場合、債務整理にはどのような影響があるのか?車は没収されてしまうのか?車を手元に残す方法も合わせて紹介します。
自動車の残価設定ローンと債務整理
まず自動車の残価設定ローンとは、残価設定ローンの契約時に決められた残価を差し引いた車両本体価格を3年・5年・7年の期間でローンで支払う仕組みです。
そのため、契約期間が終了したあとは、何らかの形で残価を精算しなければなりません。残価設定ローンで残価を精算する方法は、おもに以下の3つです。
返却する
乗っていた車を購入した店舗へ返却することで、残価分の最終支払いとする方法です。この場合、残価の支払いはありませんが、車は手元に残りません。
新車に乗り換える
乗っていた車を購入した店舗へ下取りに出すことで、残価分の最終支払いとする方法です。乗っていた車を下取りして新車を購入しますが、新たなローンの審査があります。
残価を支払って買い取る
契約時に設定された残価を支払い、乗っていた車を買い取る方法です。残価は現金一括で支払うか、新たにローンを組んで分割して支払います。
まず、債務整理をすると新車に乗り換える場合と残価を支払って買い取る場合の新たなローン審査はまず通らないと考えておくべきです。
そのため、債務整理をした場合には乗っている車を返却もしくは残価を一括で支払うことになります。
債務整理で車を手元に残すには?
借金を解決するには、債務整理の方法には、任意整理、個人再生、自己破産の3つの方法があります。
任意整理
債務者と債権者が話し合いを行い、債務の総額を減額したり、返済条件を改定したりする手続きです。
任意整理は、債務整理の中でも最も柔軟性があり、裁判所を介さずに自主的に債務整理を行うことができます。司法書士や弁護士などの専門家の支援を受けて、借入先に対して今後の返済に関する交渉を行います。
具体的には、借入先に対して返済計画の提示して交渉を進めます。借入先と借金の返済に合意した場合には、合意した内容を契約書にして債務整理が成立します。
今後の返済は債務整理で合意した契約通りに返済することになります。
個人再生
個人再生とは、債務整理の一つで、自己破産と任意整理の中間的な手続きです。個人再生は、債務者が継続的な収入を得ている場合に利用されます。
個人再生の特徴は、債務者が返済能力に応じた一定期間の支払い計画を作成し、債務整理裁判所に申し立てることによって、債務の一部を免除してもらえることです。具体的には、支払い計画に基づいて、債務の一部を免除し、残りの債務は分割払いとなり、最長で5年間の期間で返済することができます。
自己破産
自己破産は、収入の減少やその他の事情により、借金を返済することが困難な状況になってしまった方が裁判所に申立てを行い
一定の価値のある財産を処分して借金の返済に充て、それでも残った借金は免除してもらう方法です。
任意整理や個人再生しても借金の返済見込みた立たないケースは自己破産で借金をリセットし再出発ができます。
この債務整理の3つの中で残価設定ローンで支払い中の車を手元に残せる方法は、任意整理のみになります。
任意整理で車を手元に残す方法
残価設定ローンで支払い中の車を手元に残す方法は任意整理で残価設定ローンを整理しない。つまり残価設定ローン以外の借金を任意整理の対象にします。
残価設定ローンはそのままになるため、購入時と変わりなく毎月のローン返済を続けていくことで、そのまま車に乗り続けることができます。
問題は契約期間後の残価支払の際に新たにローンを組むことが困難になることです。
任意整理後5年間は、信用情報機関へ事故情報が掲載されるため、自動車ローンの審査に通りにくくなってしまうため、5年間の間はほぼ難しいと考えておいた方がいいでしょう。
大手自動車メーカーで自動車ローンはほぼ不可能
残価設定ローンを滞りなく返済していたとしても、他の借金を任意整理した場合には信用情報機関へ事故情報が掲載されるため新たな自動車ローンを組む場合に影響があります。
大手自動車メーカーが提供するローンサービスはCICへ加入しているためディーラーのローン審査も任意整理後は審査を通過することは難しいでしょう。
大手自動車メーカーのローンサービス
- トヨタファイナンス
- 日産フィナンシャルサービス
- ホンダファイナンス
- スズキファイナンス
- スバルファイナンス
- ダイハツ信販
信用情報機関に事故情報の記載があるうちは大手自動車メーカーでの自動車ローンを組むのは難しいと言えます。
余談ですが、メルセデスベンツやBMWなどの外資系自動車メーカーもCICへ加入をしています。
任意整理しても自動車ローンを組む方法
任意整理をしたことで、大手自動車メーカーの自動車ローンの審査に通らなかった場合でも自動車ローンを組む方法は残されています。
中古車販売会社などの自社ローン
1つ目は、中古車販売会社などの自社ローンを利用して自動車ローンを組む方法です。大手自動車メーカーのローンに比べて審査を通過しやすいのが特徴で、ディーラーや銀行の自動車ローンに落ちた人向けを売りにしている会社もあります。
日本オートローン保証(JALG)
2つ目は、日本オートローン保証を利用して自動車ローンを組む方法です。日本オートローン保証は自動車ローンの審査に落ちた人向けのサービスで、契約に3つの契約条件を付けることで自動車ローンを組むことができます。
- GPSとエンジン起動システムを購入した車に設置
- 購入した車の第3者の利用禁止
- 保証料の支払い
任意整理後もどうしても車が必要な場合は、自社ローンや日本オートローン保証を利用して車に乗ることができます。